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暗い部屋の中の 水音
第6章 雪の故郷
真奈美が佐藤に姓が変わった翌週
家の電話が鳴った 母からだった
「 もしもし 佐藤ですが 」
真奈美が出ると
「・・・・・・・・真奈美?」
母の声が聞こえて来た
「 そうだよ 真奈美だよ 」
真奈美が答えた
「 真奈美 元気? 電話したのはね 昨日修さんから電話が有ったの」
母が電話口から伝えて来た
「 修さんから? 」
真奈美は 指輪を見つめ乍ら母に聞き返していた
「修さんがね 明るい声でね 再婚するから真奈美に伝えて欲しいって
修さんの手紙 貴方に送ったでしょ 修さん気にしていたの 何処かで
貴方からの連絡を待って居たって 言ってたわ 修さん過労で倒れたでしょ
その時 一緒に働いて居た娘が 一生懸命看病してくれて 修さん
その娘と お付き合いするように成って 結婚するって 言って来たの
貴方も 修さんを忘れて 結婚して幸せに成って貰いたいって
言って来たわ」
母の言葉に 修を思い出して 涙が浮かんで来た
・・・雪の函館の街並みを 思い・・雪の中を通学して居た頃を・・・
・・・帰りたかった・・・あの頃に戻りたかった・・・
・・・・暖かい部屋に 母の夕食が並ぶ・・・家を思い出していた・・・・
「お母さん そっち寒く無い?」
思わず聞いてしまった
「いつも通りだよ どうして?」
母が怪訝な声で 聞き返して来た
「ウウン 何でも無い 私も再婚したよ 先週籍入れた」
真奈美が言うと
「・・・・・・何で言わないの・・そんな大切な事・・」
母は電話口で 嬉しそうに責めて来た
「・・ごめんなさい・・お父さん元気・・?」
父を 思い出していた
「元気だよ でも 寂しいのかね 時々貴方の写真見ているよ」
母は寂しそうに言う
「お母さん有難う また電話頂戴 」
受話器を置き 真奈美は涙を堪えていた
「真奈美・・・・・」
電話口で 母の声を聴きながら通話を終わらせた
・・・雪の中を 学校に向かう 街並みの景色を思い浮かべていた・・・・
・・・・・・もう・・・帰れないなーーー・・・・・・・・・・・・・・
・・・・雪降る街の 景色を思い出していた・・・・・
修の優しい心を思い出して 故郷を父を思い浮かべ 涙を拭き
立ち上がると 隆の為の夕飯の準備を 始めていた