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女優なんて…
第10章 稽古
いきなり桐生さんと肉体関係を結んだ初日を終え、
翌日は彼と顔を合わせるのが何となく気まずかった。
だけども、桐生さんは私を抱いたことなどなかったように、出会ったばかりのようにツンケンな態度を取りました。
『そう、一度抱いた女には用はないってわけね』
自然と桐生さんを見つめる目が険しくなってしまいます。
そんな私の視線を感じて、
スッと彼が私に近づいてきました。
「そんなに睨むなよ
別に君を無視しているわけじゃないさ
この劇団は、団員同士の恋愛ご法度なんだよ
スタッフの僕が決まりごとを破ったと知られると
劇団内の統率が取れなくなるんだ。
そこのところをわかってくれるかい?」
「ええ、わかりました」
私はとびっきりの笑顔を彼に返した。
「よかった。俺を睨み付けているから
相当怒っているだろうなと察していたよ
俺たちの関係は公に出来ないけど、
また時間があるときにあの店に顔を出すから…
アフターで楽しもうな」
そう言って私から離れ様に
みんなに気づかれないようにスッと私のお尻を撫で上げた。
誰も気づいていないと思ったが
主宰の近藤だけにはその様子をしっかりと見られていた。
「桐生!ちょっと話があるんだが…」
よく通る声で近藤は桐生を呼び出した。