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女優なんて…
第12章 涼風あかねと安岡健一
「ね、このシーンは本当に必要だと思う?」
テーブルの上には今回の映画の脚本が開かれて置いてある。
涼風あかねは自宅のリビングで駄々をこねていた。
「そんなこと…私に言われましても…」
マネージャーの樹(いつき)は
あかねのわがままに、ほとほと手を焼いていた。
今回の出演に際して破格のギャラが提示されていたので、マネージャーとしては願ったり叶ったりだと諸手をあげて出演をオッケーした。
涼風あかねも、巨匠の大白川監督作品だからと
大いに乗り気だったのだが
共演者が安岡健一だと知って、
一気にボルテージが下がってしまった。
ロケの時の濡れ場は遠目からの撮影と言うことで
有明優美子に代役を頼んだけれど
一度ならず二度も代役をお願いするのは気が引けたし、おまけに当の優美子は疲労困憊のようで、帰宅するなりベッドに倒れ込むようにして眠ってしまった。
優美子の疲労を考えると無理なお願いをするわけにもいかなかった。
「どうしてヤスケン(安岡健一)とのラブシーンをそんなに拒むんですか?」
今までは脱ぐことはなかったが
かなり濃厚なラブシーンなども
体を張って乗りきってきたというのに
今回は何がなんでもイヤだという涼風に
マネージャーの樹は困り果てていた。