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女優なんて…
第14章 初舞台

「私、女優として最低だわ…
演技でセックスを表現すべきなのに
私は清水と舞台上で本気のセックスをしてしまった…
あなたが声をあげてくれなきゃ
私、ただのヤリまん女になるとこだった…」
私はなんと言っていいのか言葉につまってしまった。
「あなたは何も悪くないの
だから…何も言わずに私を見逃して頂戴…
私、この劇団を辞めることにしたから!」
着衣を済ませると
私の横をすり抜けて、メリーさんは足早に劇場をあとにした。
私は仕方なく近藤のもとへ行き
メリーさんが「劇団を辞める」と捨て台詞を残して帰ってしまった事を報告した。
「ちっ!なんってこった!」
初日から芝居に穴を空けるなんて無様な事が出来るかよ!
近藤さんは頭を抱え込んでしまった。
「おい!誰かメリーの代役を出来ねえのかよ!」
先程まで舞台上の清水とメリーの痴態を見せられて
酒池肉林を繰り広げていた劇団員も
今は自分を取り戻して呆然としていた。
一言でメリーの代役と言われても
主演女優なのでセリフ量も半端ではなく
各自が自分の台詞を頭に入れるのが精一杯で
メリーさんの台詞まで頭に入れる余裕がなかった。
「おいおい!誰一人として代役を勤められないのかよ!」
チケットはすでにかなりの枚数が売れていた。
休演などすれば払い戻しと他の劇団から笑い者になるのはどうしても避けたかった。

