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女優なんて…
第14章 初舞台

メリーさんが当初、舞台で裸を見せるぐらいなら辞めると言い出したとき、
「辞めたきゃ辞めてもいいぞ
お前の代わりなんていくらでもいるんだからな」と
メリーさんを恫喝したものの
いざ、主演女優がいなくなると手も足も出なくなるとは近藤は予期していなかったようだ。
「メリーさんの台詞…
私、頭に入ってます」
言ってから「ハッ!」と気づき、
何て事を言ってしまったんだろうと後悔した。
「それは本当か?」
藁にもすがるような顔で近藤さんは私を見つめた。
演技の勉強のために
私は台本をいただきメリーさんの台詞どころか
すべての台詞を頭に叩き込んでいた。
「ええ…一応、台詞はすべて頭に入ってますけど」
「よしっ!決まりだ!
ええっと…確か君は有明という名だったよな?」
「はい、有明優美子です」
うん、いい名だと近藤さんは二度三度とうなずいて、「おい、宣伝部!表の宣伝ポスターのメリー梓川の名前の部分を上からテープを貼って有明優美子に変えておけ!」と宣伝部の男に命令した。
「いいんですか?
私、台詞は頭に入ってますけどお芝居は素人なんですけど」
「かまわん!今夜一晩でお前を女優に仕上げてやる!」
鼻息荒く近藤さんはそのように捲し立てた。

