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女優なんて…
第15章 女優デビュー
「どうして安岡さんではないと言いきれるんですか?」
「だって…あの人、種無しなんだもん」
「種無し?」
「精子がね…活動していないんだって」
じゃあ、安岡さんでないとすると…
お腹の赤ちゃんのお父さんは…
確信を得られたことで
私は大粒の涙を流して泣いてしまった。
「で…?どうする?
産むの堕ろすの?」
あかねさんの言葉に我に返った私は
即座に「産みます!」と答えた。
。。。。。。。。。。
一年後…
私は桐生さんと結ばれ
彼の妻になり、同時に母となっていた。
産まれたのは女の子で「優希(ゆき)」と名付けた。
小さなおんぼろアパートでの暮らしだったけれど
私には夢のような生活でした。
桐生さんは相変わらず劇団の脚本家から脱却できずに売れない物書きだったけれど
彼がいて、娘がいる生活は何にも代えがたいものでした。
その日も夕飯の支度をしていると
インターホンが鳴った。
「はい、どちら様?」
「私よ、久しぶりに遊びに来ちゃった」
インターホンのスピーカーから懐かしい声がした。
どうやら涼風あかねさんが訪ねて来てくれたみたい。
「わぁ~!お久しぶりですぅ!
懐かしいわ、散らかっているけれどどうぞ上がって下さいな」
ドアを開けてあかねさんを招き入れようとして
あかねさんの背後に立っている男を見て私は驚いた。