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女優なんて…
第4章 主演男優 安岡健一
ロケ隊も三日目ともなると
村民たちとも打ち解けあい、
緊張感の中にも和やかな雰囲気もあり
和気あいあいと撮影は順調に進んでいた。
ロケ隊を宿泊させている農家の人は
エキストラとして出演するために
衣装を身につけ、メイクまでされて凄く張り切っていた。
そんな和やかな雰囲気が
午後になって一変した。
監督の大白川のもとへ
主演俳優の安岡健一が二日遅れの三日目にして
ようやく合流するという一報が入ったからだ。
巷では親しみを込めて「ヤスケン」などと呼ばれているが、助監督さんに話を聞くと
「ヤスケン?あいつはダメだよ
演技もなってないしさ
何よりも傲慢だしさ」
バックの事務所がデカいから
我々も使わざるを得ないんだけどさ~、と
あからさまに合流してくるのを嫌っていました。
そんな風に歓迎されていない男がやって来た。
BMWのスポーツカーで颯爽とやって来て、
撮影中にも関わらず「ブォーン」とエンジンを空ぶかしさせて、サングラス姿の長身の男が車から出てきた。
「東京から自分の車で自走してきたんだぜ
まったく迷惑な奴だよ」
助監督はブツブツいいながらも
サングラス姿の男と目が合うと
途端に愛想笑いを浮かべながら
「安岡さん、遠いところお疲れさまでした」と
ペコペコしながら安岡に駆け寄った。