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女優なんて…
第4章 主演男優 安岡健一
「ったく…!こんなクソ田舎だと思っていなかったよ」
安岡はBMWの車体をチェックしながら
「あ、やっぱり擦ってるよ」と
同乗してきたマネージャーらしき女に
「あんたがしっかりとナビしないからこうなったんだろ!」と周りの目も気にせずに、その女性を罵倒した。
『うわぁ~…ハンサムなのに性格悪そう…』
絶対にこの人に口説かれても
気持ちよくお付き合いできないわと
私は、そんな第一印象を彼に抱きました。
「安岡くん、早速で悪いけど
午後から撮影に入ってもらうよ」
大御所の大白川監督にそう言われて
安岡は「了解」とばかりに
馴れ馴れしく片手を上げて合図した。
スタッフの誰もが安岡に苦々しい視線を送っていた。
ここまでスタッフに嫌われている役者さんなんて、きっと彼ぐらいでしょうねと
私は呆れながら名刺を手にして安岡の元へ駆け寄った。
「はじめまして、当村の広報を担当する有明と申します」と丁寧にお辞儀をして名刺を差し出した。
「あ、そう。よろしくね」
安岡は差し出した名刺を受け取ろうともせず
サングラスの奥から私を繁々と見つめた。
「へえ~、あんた可愛いじゃん。
今度、お茶しようね」
と厚かましく私にハグしてきました。