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女優なんて…
第6章 本番
翌日の撮影では誰もがピリピリしていた。
それもそのはず、本来は映画の主人公である女と男が結ばれるシーンは都内のスタジオ撮影を予定していたのが、村の外れにある今は誰も住んでいない廃屋を利用して、そこで撮りたいと監督の大白川が急に変更してしまったからだ。
『再開した二人は愛を確かめるように結ばれる』
台本にはそのように簡素に書かれているだけだった。
廃屋内で演技指導を受けていた涼風が
急に顔を真っ赤にして怒り出した。
「キスシーンまでなら許せるけれど
どうして脱がなきゃいけないんですか!!」
どうやら大白川は涼風にヌードになれと指導したようなのです。
涼風さんの怒号に
村の広報として撮影隊に同行していた私は
何事かと廃屋に足を踏み入れて覗き込んだ。
廃屋の一室には布団が敷かれていた。
どうやら民泊用にレンタルされた布団一式を持ち込んだようで、ボロボロの古民家の部屋に真新しい布団が鮮やかでちょっぴり淫靡なムードを醸し出していた。
「私、イヤよ!絶対に脱がないから!」
「おいおい、駄々をこねるなよ
男と女が愛し合うんだから裸になるのが自然なんだよ」
なんとか涼風さんに了解してもらおうと
監督の大白川は汗だくになって説得していた。
「僕なら全然かまわないですよ
なんならオールヌードになったってかまわないんだから」
女性週刊誌にブーメランビキニパンツで
鍛えたからだを誇示するかのようにセミヌードグラビアを載せた経験のある安岡は濡れ場に対して異様に乗り気だった。