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女優なんて…
第6章 本番
「監督!?
安岡の野郎がパンツの中に指を入れてるんじゃないか?」
カメラマンが私の股間をアップで撮っているので
男の手首の曲がり具合から指を挿入しているのを感じ取った。
「いいんだよ!好きにやらせろよ
女の尻を触ったらパンツの中に指を入れるだろ?
それが自然なんだよ
これこそ俺が求めているリアリティーなんだよ!」
官能シーンはBGMでも流す予定なのだろう
スタッフはマイクが声を拾うのも構わずに
大きな声で言い合いしていた。
「痛い?」
安岡は指の動きを止めて私に問う。
私は本能的に首を振った。
『これは痛いというよりも…』
「…気持ちいい、です」
それを言うのはすごく恥ずかしかったけど、
安岡に安心して演技を続けて欲しかった。
「そう、よかった」と
小さく呟いた安岡に私も安心して微笑んだ。
彼はまた指を動かし始める。
よく聞くと、ぐちゅぐちゅという音がする。
きっと、集音マイクが、そのいやらしい音を拾っているのだろう。
音響スタッフがヘッドホンから流れる音に
興奮して顔を真っ赤にしていた。
けれど安岡の体に
しがみついた手を離すことができなくて、
彼のやりたいようにさせるしかなかった。
私の頭の中は
恥ずかしさと気持ちよさでいっぱいで、
どうにかなってしまいそうだった。
「大丈夫?」
もう一度、安岡にそう尋ねられたとき、
自分の中に指が何本入っているのかさえわからなくなっていた。
わからなかったけど、
多少苦しさと違和感があるくらいで
ほとんど痛みはない。
「大丈夫…です」
今、指は動いていないのに、息が乱れる。
自分の腰が勝手に動いて
気持ちいいところに当てているのだと気づいて、
でも恥ずかしさより早く安岡に気持ちよくしてもらいたい気持ちが勝った。