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夏の対価
第1章 夏の対価

野太いエキゾーストノートが僕の横を過ぎて行く。赤い大型バイクだ。
道の先の、膨らんだカーブの木陰で停車する。エンジンが止まると、うるさいほどの蝉の声が戻ってくる。
いかつい革ジャンにジーンズ。ブーツ。バイクから降りてヘルメットを脱いだ。女だ。背が高い。僕と同じぐらいだろう。道路脇の自動販売機へ歩いて行く。
その横を通り過ぎるときに、バイクのタンクにDUCATI(ドゥカティ)を書いてあるのが見えた。
イタリア車なんて珍しい、と思っただけでそのまま行こうとしたら、蝉の声に混じって、背中で「チッ」という舌打ちが聞こえた。
チラッと振り返ってみる。しかしその舌打ちは僕に向けられたものではないらしい。バイクの女は自販機に向かって再び舌打ちしてから、今度は
「ハア…」
ため息をついた。
道の先の、膨らんだカーブの木陰で停車する。エンジンが止まると、うるさいほどの蝉の声が戻ってくる。
いかつい革ジャンにジーンズ。ブーツ。バイクから降りてヘルメットを脱いだ。女だ。背が高い。僕と同じぐらいだろう。道路脇の自動販売機へ歩いて行く。
その横を通り過ぎるときに、バイクのタンクにDUCATI(ドゥカティ)を書いてあるのが見えた。
イタリア車なんて珍しい、と思っただけでそのまま行こうとしたら、蝉の声に混じって、背中で「チッ」という舌打ちが聞こえた。
チラッと振り返ってみる。しかしその舌打ちは僕に向けられたものではないらしい。バイクの女は自販機に向かって再び舌打ちしてから、今度は
「ハア…」
ため息をついた。

