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ラスト・レター
第1章 ラスト・レター

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 これをあなたが読んでいるということは、わたしはもういないのね。

 もしかしたらあなたも亡くなっていて、子どもたちが見つけたのかもしれないけれど、きっとあなたが読んでくれると信じて。

 今の家はあなたと二人だけで暮らすつもりで建てた。立派に成人した子どもたちも無事に巣立って、それまで住んでいた家からこじんまりしたこの家へあなたと二人だけで移り住んだ。

 覚えてる?あなたとわたしのどちらかがいなくなったら、一人で住むのは寂しいからその時は手放そうって話したこと。あなたがその時の会話を覚えていたら、いつかきっと…。

 その時が来たらあなたに読んでもらえるように、普段ならば見つからない場所に、わたしがまだ元気なうちにこの手紙を隠したのよ。

 どっちが残るだろう、どっちが先に逝くだろうって話したよね。残された方がつらい、先に逝った方が楽だから、あなたよりも年下だけど、だからわたしの方が先に逝きたいってあなたに言った。そのとおりになった。

 ごめんね。ごめんなさい。
 あなたを残して、一人にしてしまってごめんなさい。ちゃんと言えなかったから、この手紙に託しました。

 あなたと一緒にいられて幸せだった。とても。言葉では言い表せないほどに。

 ありがとう。

 愛するあなたへ。
 あなたを愛したわたしから心を込めて。



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