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ひだまりのねこ
第12章 マル
マルの表情はやはり苦痛に満ちていた。
具合が悪いのは明らかだった。
でも、優佳はマルを病院には連れて行こうとはしなかった。
もうマルは15歳である。
いつ、お迎えが来てもおかしくなかった。
それに、苦しい延命処置を優佳は望んでいなかった。
生も死も自然に任せるのが本当ではないか。
そう思っていたのである。
苦しい延命処置はある意味人間のエゴだと優佳は思っていた。
だから、今まで飼ってきた猫達も延命処置はしなかった。
優佳はずっとマルの頭を撫でてあげていた。
マルの傍から離れる事はしなかった。
その姿をクロちゃんは遠くから見ていたのである。
クロちゃんは何だか少し怯えている様だった。
時間は過ぎて夜になった。
優佳は食事もせずにマルの頭を撫でていた。
「マル、頑張ったね。もう頑張らなくてもいいんだよ」
そう優佳はマルに話した。
マルはそれをただ聞いているだけだった。
時刻は夜の8時になっていた。
優佳はマルを抱き上げて抱っこしてあげようと思った。
抱き上げて赤ちゃん抱っこして部屋の中を歩いていた。
マルはこの時血便をしていたのだ。