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夫婦で妊活旅行に行く話
第4章 白浜観光をしよう! ①

「そうだよ、そんな勝手な
バックストーリーを考えちゃうの。
考えようとしてるんじゃないのっ」

「俺はそうはならないから、
ののかのその話には共感は出来ないけどさ、
素直に目の前のショーを楽しめば良くない?」

むぅっとののかが口を尖らせると

「見てるからっ、ちゃんとショー観てるもん」

ショーの最中に妄想に明け暮れている…

と言う訳ではなくて

見せ場の大技が決まれば 拍手をしているし

タイミングでは他の観客と同じ様に

歓声を上げたりしているが

その合間 合間に 涙を拭いていたので

イルカショーのどこに泣く要素があるのか

俺にはさっぱり理解が出来ない

本人が言うにショーは凄いと思うし
観てて楽しいんだけど 泣いてしまうのは
悲しい訳でも感動してる訳でも無いらしい

「…うぅ…っ」

前の大きなスクリーンに
ドキュメンタリーの様な
無音の映像が流れて来て

ティッシュで目元を押さえていた
ののかがキョトンとした顔をして

「透真…っ、あれっ…」

その大きなモニターのミニドラマと
会場で流れるナレーションの内容が
多少の内容の違いがあれども

ののかが透真に対して話して来た
妄想の内容にかなり近い様な物で

「何?私の、妄想の具現化?
何?ついに時代が私に追い付いて来たの?」

「いや、ツッコむ所はそこじゃないって。
要するに、ののかがイルカショーにしてるような
妄想をしてる人が他にも居るって事じゃない?」

「まさかの、オフィシャルが
妄想の内容を脚色して、
バックアップしてくれるシステム?」

「でも確かに、こう言うドラマみたいな
演出を挟んで来るイルカショーは
俺もあちこちでイルカショーを
観た事があるけど見るの初めてかもな~」

そのミニドラマの中に出ていた
トレーナーの女性が
イルカの鼻先に乗って
プールをクルクルと客席に手を振りながら
派手に水しぶきを上げて移動して行くと


プールの中央から イルカに押し上げられて

ジャンプして

その両サイドからも 6頭のイルカが

トレーナーの着水のタイミングに合わせて

ジャンプをする大技を決めて


客席からはわぁっと大きな歓声が上がる

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