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アウスペック図書館の奇妙な住人 seasonⅠ
第1章 古書
これはこれは、皆さん。わたしはこのアウスペック図書館の館長及び執事をしておりますジェファーソンと申します。以後、お見知り置きのほどよろしくお願い申し上げます。
 歴史あるこのアウスペック図書館は、外見からしまして古来よりおかしな……いや、言い方を変えましょうか、奇妙なことがよく起こります。
 今日もまた皆さまのような風変わりな読者の方がいらっしゃっいました。
 あなた方も奇妙な住人として歓迎いたします。
 本日も奇妙な来訪者の方々が数人ほどいらしております。前置きはこの辺にしまして、それでは参りましょうか。正面の扉から御入館してください。

 【古書】

図書館の司書である美しい女性【エマ】は毎日静かな日常を過ごしていました。エマの日常は入館してからいつも通りの準備から始まります。貸し出し、返金のチェック。本棚のチェック、整理。本の修理。レファレンス事項。予約客リストのチェックや館内の掃除など。最近はやる事はたくさんありますが、エマにとってはどれも楽しい作業です。大好きな本に自分が囲まれているだけで幸せです。うちの図書館は、とくに古い書物を多く扱っています。独特な本の香りがたまりません。それに図書館って、新しい発見があるじゃない。また新しい自分を発見できるからわたしは好き。ニュースペーパーと同じよね。自分自身を見つめ直して、また新しい自分も発見できるなんて、とても素晴らしいことだわ。図書館に来る人たちは、本を読みに来る人だけとは限りません。図書館は実質、静かにするのは一般的なマナーです。なので、学習をしにくる学生や調べ物をしながら仕事をする人もいます。エマはそんな人たちを見ていると身が引き締まる思いになり、仕事への励みにもなります。
 わたしもがんばらなくちゃ!
 エマ、おはよう。エマに声をかけてきたのは、親友以上恋人未満のマイク。
 彼はコンピュータ技師今で言うIT技師
 フリーランスで企業から仕事を請け負っている。いわゆる企業案件で生活している有能な男で頼りになる。
 またわたしの仕事の邪魔しないでよね。
 はいはい……。分かってますよ。俺だっていつも君の相手ばかりしてほど暇じゃないんでね。
 なッ……。エマは怒りを堪えながら苦し紛れに、「そんなんだから奥さんに逃げられるのよ。」まったく……。はぁ。いつもあの調子で掻き乱されるのよね。
 
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