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最高の女
第5章 女の声がする
マンションの玄関に消えた彼女の背中を見送った俺は、車をスタートさせた。

相変わらずザーっと音を立てて雨が降っている。

信号待ちをしている時に、また「クーン」という音がした。
気のせいかもしれないが、音の位置が移動しているように感じる。

気持ちワリイな...いったい何なんだよ...

俺はスマホを取り出して、コルベットを買ったカーショップに電話した。

ああ、わかってるよ。
運転中に、スマホいじっちゃいけないんだよな。
でも、もしもどこか故障を起こしてたらヤバイだろ。
緊急事態ってことで大目に見てくれ。

3コールで社長が電話に出た。

「社長か?俺だよ。格安コルベットを買った男だよ」
「おお、どうした。何かあったのか?」社長が、心配そうな声を出した。
「ちょっとね。走ってると変な音がして。それで、社長に聞きたいんだけど…」
「今、あの車に乗ってるのか?」
「そうだよ。それで聞きたいっていうのは…」
「なあ。デートの最中なんだろうが、人に電話する時は慎めよ」
「はあ?何言ってるの?」
「横にいる女を黙らせろ。笑い声で、あんたの声がよく聞こえないから」


いったい…何を言ってるんだ…車には、俺しかいないぞ…

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