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最高の女
第6章 最高の女
それから俺がどうしたか。

普通だったら車を放置して逃げるよな。

そしてコルベットを買ったショップに電話して、買い戻してもらうように交渉する、とか。

どれでもない。
俺は車に戻ったんだ。
馬鹿なヤツだと思うだろう
俺も自分を馬鹿だと思うよ。

車に戻ると誰もいなかった。
だが気配は感じる。

さっき後ろから抱きつかれたって言っただろ。

無理なんだよ。

コルベットは2シーターなんだ。
2人乗りでシートも二つだけだから後部座席は無いんだよ。

人がドライバーに後ろから抱きつくのは不可能さ。

人だったら…な。

俺は車をスタートさせた。

例の「クーン」という音がしたが、やっと正体がわかった。女の甘える声。自分の男に甘える声だ。

そして…あの夢の女の声に間違いない。

その後、何回もコルベットに乗っているうちに、女の声がハッキリと鮮明になって、おぼろげながら助手席に座っている姿も分かるようになってきた。
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