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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?
別荘に帰ったのは、夜が白々と明けかけた頃だった。敷地内の砂利の敷かれた一角に、車を慎重に停車させる。フロントガラス越しに別荘の建屋を見上げ、それが深閑としていることに、まずは胸を撫で下ろした。
しかし警戒を怠ることなく、まるで泥棒のような細心さで別荘内に忍び入っていく。音を立てずに、ドアを閉ざそうとした時だった。
「おかえり」
声をかけられて、思わず身をすくめていた。おそるおそる振り返ると、まだ薄暗い玄関に立っていたのは、高坂文水だった。
それが出かける時と同じ光景だと思い至り、俺はいら立ちを隠せなかった。
「こんな時間に、わざわざ出迎えかよ」
言ってしまってから、親に咎められて悪態をつく子供(ガキ)のようだと感じた。酷く気恥ずかしい気分。視線をそらしたことが一層情けなく思えて、すねた顔を彼女の方に向けると虚勢を張るように睨みつけた。
「別に。只、なんとなく目が醒めちゃってさ。他意はないよ、ホントに」
「そうは思えないけど」
「なぜ?」
「見透かすような真似されたら、誰だって警戒するってこと」
「警戒するのは、自分が後ろめたいからなんじゃない?」
「……!」
癪だけど図星だ。高坂文水に対するいら立ちは、そのまま自分への嫌悪へと置き換わってしまう。なにを言っても、それは巨大なブーメランだ。
松川土埜との強烈な一夜を経て、今は自分を卑下することを止められそうにない。