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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?
「一人、だったの?」
「……見ての通りだけど」
最早、平静を装うこともできなかった。ぼそりと呟くと、そのまま逃げるように地下へ下ろうとしている。
「ねえ、あとひとつだけ」
「?」
「気が向いたら、相談してみない? 私なら、味方になってあげてもいいよ」
「……」
なにか言おうとして、しばらく立ち尽くしていたが、適切な言葉が浮かばなかった。口を開いたのは、高坂文水と離れ書斎で一人になった後である。
「味方って、どういう意味だよ?」
ベッドに倒れ込みながら、独り言を呟いていた。
味方というなら、敵がいなければならない。では、この場合において、誰が敵になるというのか。それとも単に、高坂文水が俺に取り入ろうとしているだけ……? どちらにしても、釈然としない想いだった。
別荘に一人で戻ったのは、松川土埜がそう希望したからである。彼女は俺に迷惑がかからないように、二人で一緒に戻ることを了承しなかった。
朝までホテルに留まり、昼頃まで適当に時間を潰した後で、瑞月たちと連絡を取るつもりだと言う。それから彼女たちの予定に合わせ、駅等で落ち合うなり、タクシーで別荘に戻るなり、決めるということだった。
確かにそれなら、昨夜のことを勘繰られる可能性は低いだろう。少なくとも、瑞月や夏輝さんには……。