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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
ううっ、頭がガンガンする……。
気分は最悪で、心臓がうるさいくらいバクバクと鳴り続けた。
こうなったのも、彼女たちがやって来たせいだ。
もっとも俺としても迂闊であったことは認める。歓迎の意味を兼ねた今夜の晩餐の席で、普段ならほとんど口にしない酒をたらふくと飲んでしまった。彼女たちに勧められ、調子に乗ってしまったことは否めない。クールに振舞おうと心掛けていただけに、遺憾であり不覚だ。
ビールからはじまり酎ハイに日本酒にワインと、酒に慣れてない人間が絶対してはいけない飲み方をした。その結果として今は一人、地下にある書斎(と、俺はそう呼ぶ)のベッドで熟睡することも叶わず、ウンウンと唸っている始末。冗談じゃない。俺らしくもなく、とんだ醜態である。
上が騒がしいな。あいつら、まだ飲んでいるのか……。
時折、一階から悲鳴にも似た笑い声があがり、続いてドタバタと床を踏み鳴らす音が聴こえていた。彼女たちは、まだまだ旅先の夜を満喫しているようだ。最近の若い世代(特に女性)の飲酒率なんて、かなり低いはずであるのに……。
まあ、特に酒が好きそうなのは、あの二人か。夏輝(なつき)さんと高坂(こうさか)さん。最初の印象では、夏輝さんは明るくて人当たりのいい雰囲気。高坂さんの方はぱっと見でギャルっぽいから、瑞月(みずき)の友達としては、やや意外なタイプだった。
瑞月の雰囲気が昔と変わってしまったのも、彼女の影響があるのかもしれないと感じていたが、どうもそう単純なことではなさそうだ。
もう一人の松川(まつかわ)さんは眼鏡をかけた大人しそうな子で、酒も口をつける程度だった。まだ飲酒の経験がないのかもしれない。大学生になったばかりなのだから、その方が普通だろう。
仮にも彼女たちをこの別荘に迎える立場(管理人)として、先に酔い潰れてしまったことが、とにかく情けないと感じてしまう。そうは言ってみても今はどうすることもできないので、とにかく体調が回復するまでは休むしかなかった。
ああ、明日からまた面倒だな。それが本心に違いないが、一方では胸の片隅に僅かな希望を抱いてるような気もしている。結局は、俺も男ということなのか?
それだって彼女たちが、あんな風に……否、今は難しく考えるのは、よそう。