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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
意外な電話を受けて、俺はすぐに別荘に戻った。するとリビングで見かけたのは、只ならぬ雰囲気を醸し出しながら対峙する瑞月と、そして五月女さんの立ち姿である。
だけど、瑞月の方は――
「!」
入ってきた俺の顔を見るなり、自分の部屋へと足早に戻っていってしまった。一体これは、どういう状況なのだろうか。そもそも、なぜ五月女さんが別荘に来ているのか、まずその理由が見当もつかない。
だが俺がそれらの疑問を投げかけるより先に、こちらをキッと睨みつけた五月女さんが、実に不服そうに口を開いた。
「涼一さん、今までなにをしていたの?」
「えっ? いや……バイト先の後輩と、ちょっと……」
「バイト先の後輩?」
五月女さんの訝し気な視線を受け、俺は誤魔化すように答えた。
「ちょっと映画をね。ほら、知ってるでしょう? この夏、話題のアニメでさ」
なんとなく一緒に出掛けていたのが|華火(おんなのこ)と悟られては面倒な気がして、さりげなく話の矛先を変えようとしたのだけど、その意味で五月女さんは非常に鋭い。