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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
あれは、高校一年の時。季節でいえば、真夏のやや手前といった頃だ。高校入学を前に抱いていた希望とやらはその頃にはすっかり消え失せ、俺は大きくひねくれると、よくない連中とつき合うようになっていた。
その連中のことを今の世の中では、どう表せばピンとくるのだろう。個人的偏見かもしれないけど、不良といえば昭和っぽいイメージが漂うし、ヤンキーという見た目でもなく、アウトローというほど筋金入りでもない気がした。
まあ、そんなことはどうでもいい。とにかく高校において、そんなグループの中に属していた時期が、この俺にはある。だけど、決して仲間だったとは認めたくない。俺たちは互いに利用し合っていただけだった。あの連中にとって、それはもちろん金であるし、こちらにとっては、自分なりの歪な安寧といったところだろう。
彼らの中にいれば、それ以外の一般の生徒たちと適切な距離を保つことができた。向こうから、勝手に遠ざかってくれた。普通に仲良くはなれないと諦め、ならば忌み嫌われるくらいの方が精神的にも楽だろうと開き直ったのだ。
実際、彼らは俺(の持つ金)を重宝してくれたし、時には世情の煩わしさから守ってもくれた。孤独も癒されたし、なにより自分が偉くなった気分だった。
しかし、やはり彼らはろくな連中ではなかった。金をせびるだけならまだしも、俺の住む家にも入り浸るようになり、あの五月女さんでさえ一時は近寄るのを危ぶむほどだった。