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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「……私の父は三十代で独立し、小規模ながらネット関連事業の企業を立ち上げました。それから間もなく、スマートフォンが普及して以降は、主にアプリ開発に力を入れ業績を伸ばしてきたのです。ですがある時、大手企業から依頼されたアプリに重大なバグが発生すると、賠償問題に発展することになります。窮地に追い込まれた父を、救ってくれたのが涼一さんのお父様でした」
「その時、五月女さんは?」
「私は当時、大学の一期生。たまに父の会社の事務仕事を手伝ったりして、オフィスに出入りしていました。そんな時、私は出会うことになります。あなたのお父様――岸本英次と」
「!」
「父の会社の狭いオフィスに、その人が訪れたのは突然のことでした。帯同していた数名の取り巻きに続き、オフィスに足を踏み入れたその人は、唖然とする従業員を見渡し、こう言います――『社長はどこだ?』と」
五月女さんは、その後の二人のやり取りの続きを、話して聞かせた。