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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第13章 エピローグ② 願うべき幸せ
◆ ◆
松川土埜と最後に会ったのは、二年前――あの夏の日から、三年後のことだった。
会いたいです、とシンプルなメッセージがあり、都内にあるカフェで待ち合わせた。
俺はこの年の春に、島の祖父母の元を離れ、上京していたのだった。
先に来て、席に座っている彼女を見た時に、挨拶を交わした後で、俺はこんな風に言った。
「なんだか印象変わったね。とても綺麗になった」
後の言葉は蛇足かと感じたけど、思わず口に出てしまった。
それくらい、実際に目を奪われるほどだった。
彼女は少し照れくさそうにした後で。
「コンタクトにしたからかな? あと、元々が地味でしたから、そう感じるだけかと……」
「そんなことないよ。元から、すごく魅力的だった。今は、洗練されたというのかな」
以前は、どこか危うかった印象。それが、今は感じられない。
「嬉しいな。ありがとうございます」
彼女がそう言って、はにかんで笑った。その笑顔が、以前のデートの終わりに見せてくれたものと重なり、俺はホッとした想いになった。
あの四日連続のデートが終わった後、まだ滞在予定は数日間残されていたにも関わらず、松川さんも夏輝さんも東京へ帰ると言い出した。
理由について二人は言わなかったけど、急によそよそしくなったように感じたのは、例の生配信が予想を超えて話題になったせいと思われ。
きっと、あれを見た二人が、俺と瑞月に気を遣ったのだろう。そして、その数日前の自分たちとのデートはなんだったのかと、俺に対して怒りを感じたとしても、なんら不思議なことではない。