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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第14章 エピローグ③ 笑顔と共に
「それにしても、すごいですよね、瑞月」
「うん」
そう言って俺たちは、遠くに見えるビルの壁の大きな広告を見つめた。
話を終えて、公園を後にしようとした時だった。
「ねえ、お兄さん。私は今、目標があって勉強も忙しくて、毎日が充実しているんですけど」
彼女が元気にそう言ってくれると、俺も救われた気分だった。
「それは、なによりだね」
「でも、ですね……この先、挫折して、やっぱり闇落ちしちゃったり、そういう時もあると思うんですよ」
「うん?」
「そんな時は、またお兄さんを頼ってもいいですか。そして、もし――」
夏輝さんは、ぐっと胸の辺りを押さえ、それから顔を上げて、こちらを見据えた。
「もし……その時に、お兄さんに大事な女(ひと)がいなかったら、義務感とか同情とか抜きにして、私のことを見てほしいなって……そう、思います」
彼女に過去に、関わってしまったこと。あの頃の愚かな自分への怒りは消せない。
それでも、彼女が前を向いてくれるのならば。
「うん、わかった」
その後、大きく手を振った夏輝さんは――
「絶対ですよー!」
眩しい笑顔と共に、元気に走り去っていった。