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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第15章 エピローグ④ パートナー
◆ ◆
そうして、五年後となる、現在に至る。
「先生、編集の方が見える時間ですよ」
ゆさゆさと肩を揺すられている。
「うーん……」
でも、まだ意識がはっきりとしない。すると――
「ほら起きて、せんせぇ」
耳元で、吐息と共に、そう囁かれ。
「うわっ……!」
突っ伏して寝ていたデスクから、驚いて顔を上げた。
見ると、スーツ姿の五月女日名子が、俺に微笑みかけている。
「五月女さんか……変な起こし方しないでよ」
「何度も、お呼びしたんですよ。先生って」
「先生は止めてよ。五月女さんから、そう呼ばれるのは、特にむず痒い」
一応、俺は現在、高橋涼一として小説を書いている。
雑誌社の新人賞で入選したのが、二年前のこと。その後にデビューを果たし、昨年には幸運にも文学賞を賜るとこができた。
とはいえ、益々先行きが険しくなるばかりの昨今の出版界。多少、名が売れたからといって気を抜けば、一瞬で過去の人になりかねない。
そんなわけで、昨日も徹夜。結局、昼前まで執筆を続け、そのまま寝てしまったというわけだった。