この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第15章 エピローグ④ パートナー
「それはそうと、もう三時前ですよ」
壁にかけた時計を指さし、五月女さんは言う。
「あ、そっか。打ち合わせ」
俺は慌ててデスクから立つと、洗面所に行き、顔を洗った。
2LDKのこのマンションは、事務所兼、仕事場兼、そして俺自身の住居という場所になっていた。
仕事にある程度目処がついてここに移る際に、五月女さんに協力を求めたのは、一人では心許なかったから、というのが第一の理由。俺はとにかく細々とした雑務が苦手なので、その辺りをきっちりこなしてもらい、小説に集中しようというわけだ。
彼女に頼った第二の理由は、彼女が口にした〝同志〟という言葉が頭に残っていたから。有能な五月女さんは想像以上に、多方面から俺を支えてくれている。
程なく、インターホンが鳴った。それに五月女さんが応じて、訪問者を仕事場に迎え入れたようである。
洗面所から戻った俺に、応接用のソファーから片手を上げたのは――
「こんにちは、先生。調子は、どうです?」
「まあまあだよ、高坂さん」
そう、俺の担当編集者の――高坂文水。
今日は雑誌に連載中の小説のについて、今後の展開を打ち合わせようというわけ、なのだが。