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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第15章 エピローグ④ パートナー
思い起こせばあの夏、俺の執筆作業に一番関心を示してくれたのは彼女だった。どこの雑誌の新人賞に応募するのかと、聞かれてもいた。結局、あの時書いていたものは破棄してしまったし、実際は他の新人賞にも(別作品を)応募していたわけだけど。
いくつかの偶然が重なったにせよ、こうして再会できたのは、互いが互いの場所でしっかりと戦ってきたからだ。だからこそ、誇らしく思う。
俺がまだ起き抜けであると伝えると、食事を取りながらでいいからと、高坂さんに促されファミレスに入った。
そこで簡単な食事と小説の打ち合わせを澄ませると、どういったわけか、別荘で過ごしたあの夏の話題となった。
「あの後、私が帰ってからも、いろいろあったんじゃない?」
「まあ、ね……」
「ふふふ、正直でよろしい。でも、具体的に聞く気はないけど」
「高坂さんは、あの後、他の三人とは?」
そう聞くと、高坂さんはペロっと舌を出して。
「バッチリ疎遠になったよ」
おどけて言うのは、気遣いか。そう感じて、俺は。
「ごめん……俺のせい、かな」
「まあ、そうちゃそうだけど」
と、昔と比べ清楚に伸ばした髪を、肩の後ろに手で流しながら。
「私、恋敵(ライバル)とは馴れ合わない主義だから」
そう言って、彼女らしく笑った。
「高坂さん……俺、あの時から」
手にしたカップの中の、僅かに残ったコーヒーを見つめながら、言葉を続けようとした時だった。
「今は、やめよ」
「え?」
「その続きが、私にとって良いことでも悪いことでも、今は聞きたくない。さっきも言ったでしょう、ちゃんとパートナーになりたいって」
高坂文水は、やっぱりカッコいいと思う。
「そうだね」
だから俺も、もっとカッコよくなりたかった。