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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第16章 エピローグ⑤ 誘惑?
◆ ◆
その連絡を受けたのは、それから二週間後のことだった。
繁華街から少し外れた場所にある、完全個室のバー。言われなければ、それが店舗であることも気づかないであろう、狭く急で無機質な階段を経て、辿り着いたドアから。
「お連れ様は、既に到着されております」
と更に通路を案内され、奥まった個室へと通された。
「えっと……瑞月?」
室内でありながら、サングラスと帽子を被って座る人物に、俺はおそるおそる訊ねた。
「なにビクビクしてんの?」
「いや、だって……そんな風に『ザ・芸能人』って姿を前にすれば、一般人はこうなる」
「自分だって、小説家じゃん」
「そうだけど、自分が前にでる仕事じゃないし」
「でも、これからは作家だって、セルフプロデュースが求められるんじゃない。まだSNSやってないの?」
「世の中に発信するようなものは、一生やらない。俺には向かないし」
「まあ、いいけど」
俺が向かい合って座ると、瑞月はサングラスと帽子を外した。
「あれ? この前まで、金髪じゃなかった?」
「あれは、ドラマがあったから。ギャル役の。クランクアップして速攻戻したよ」
なぜだか瑞月は、少し照れたように言った。