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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第16章 エピローグ⑤ 誘惑?
「大変だな。タレント業も」
瑞月が芸能活動を始めたのは、大学在学中、まだ二十歳になる前だった。当初は母親の昔の伝で、モデル事務所に所属。母の旧姓を用い逢坂瑞月として、ファッション紙を中心に、徐々に活動の場を広げていったのだ。
人気に火がついたのは、テレビのバラエティー番組に出演をした際、そこに例の生配信を視聴していた芸人がいて、それをイジられた時だ。
その時、耳まで真っ赤にして狼狽え恥じらう姿が、とても可愛いと話題になり、そこからはテレビの仕事が増え、ドラマや映画など女優業まで手広くこなすようになった。
「それにしても、久しぶりだね」
「ああ……」
確かにこうして顔を合わせるのは、久しぶりだけど、普段からテレビや雑誌等でその顔を目にしている俺と、瑞月の感じ方はまた違うようにも思われた。
実際、会うのは、もう三年、いや四年近くになるのかもしれない。瑞月がモデルとしてデビューしたと知って、当時暮らしていた離島から慌てて上京した時だ。
会いに行った動機は、やはり心配だったからだと思う。自分でも世間知らずと認めていた瑞月が、そんな世界で上手くやっていけるとは思えなかったから。