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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで
「お迎え、ご苦労さま。コーヒー、勝手に淹れさせてもらったけど」
そう言って、手にしたマグカップを軽く掲げる。
「もちろん、いいよ。インスタント?」
「ううん、ドリップだよ。棚にあった豆を使わせてもらったの」
「ああ、あのブレンドね。バイト先でも使ってヤツで、結構美味いんだ」
「ふーん」
そんな会話がどこか空々しく感じられるのは、俺だけだろうか。彼女の愛撫を受けて激しく射精してから、まだ一時間程度しか経っていない。
彼女の濡れた髪が、シャワー後であることを教える。精液で汚れた身体を流す光景を、ふと妄想してしまった。
「確かに美味しいんだと思うけどさ。私って本来、ミルクと砂糖たっぷり入れないとコーヒー飲めないんだ」
彼女が口にするマグカップの中身は、話と反するようにシンプルな黒色をしていた。それを目にして。
「ああ、ミルクと砂糖の場所、わからなかった? 今、持ってくるね」
そう告げて、キッチンに向かおうとするが。
「いいよ」
「え、だけど……?」
「今は、いいの。このブラックの苦さが――丁度、ね」
そう話した高坂文水は、とても苦そうに顔を歪めながらコーヒーを飲んでいる。
「……」
俺は今後、この高坂文水と果たしてどのように関わっていくべきなのだろうか。彼女の横顔を眺めながら、様々な想いがこの胸に去来していた。
しかし彼女たちが別荘にやって来て、まだ二日目の夜。高坂文水にも他の三人にも、本当に惑わされるのは、これからかもしれない。
俺は理由もなく、そんな予感をしていたのだった。
【第二章おわり】
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