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落城
第1章 プロローグ
実際、章介は志乃に勝ったことがなかった。

あの日もそうだ。まだ16の志乃に結婚を申し込んだあの日。師匠の宗像剣信(けんしん)は、志乃と試合して勝ったら婿として迎えてくれると言った。章介は道場の仲間全員が見ている中で志乃に挑んだ。

散々だった。胴を打たれ章介は失神したのだ。しかも打ちどころが悪かったのか小便を漏らしてしまった。

その日から、章介は、女に負けた失禁男、と揶揄されるようになった。それはやがて城中に広がり、いたたまれなくなった章介は国を出た。あれから8年。流れ流れて、今は山賊の用心棒にまで落ちぶれている。

志乃が憎かった。そして、志乃の亭主におさまった清七郎が憎かった。

清七郎だって剣術の腕前では、志乃にかなわなかったはずだ。恐らく試合で志乃が手加減したに違いない。馬顔で不細工な自分と違って清七郎は顔がよく、性格も明るい。道場の仲間から人気があったから。

いつかこの二人に復讐してやる。それが章介の生きがいになった。

秀吉がこの国を攻めてきたことで絶好の機会が訪れた。城にいる昔の仲間から、志乃が若君を連れて密かに城を抜け出すことを聞いたのだ。行先は重久のところだという。だったらこの峠を通るしか道はない。網を貼れば、捕まえるのは簡単だ。

章介は、悪太郎に5歳くらいの男の子を連れた女をすべて捕まえるように命じた。

昨日、一組捕まえたが、志乃ではなかった。今日は間違いない。志乃だ。その強さがそれを示している。

さて、どう料理してやろうか――。章介は一人ほくそ笑んだ。
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