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落城
第6章 嚥下
悪太郎が抱きしめていた腕を解くと、茜はグッタリとその場に転がった。
「お嬢さん、気持ちよかったか」
志乃の後始末を終えた章介が声をかけた。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
茜は答えなかった。目を閉じたまま涙を流している。
「ぐうの音もでないか。ハハハ。まあよい。そのままそこで休んでいろ」
そう言うと、章介は志乃のほうを向いた。
「さて、志乃殿、勝負は拙者の勝ち。約束通り、若君は悪太郎に渡しますぞ」
「待ってください。後生です。私はどうなっても構いません。若君だけはどうかお救いください」
戸板の上に人の字型に縛られたままの態勢で志乃は必死にすがった。
「自分はどうなってもよいと申されるか」
「はい。佐々木殿のお好きなようにしていただいて結構です。打ち首にされても構いません。ですから若君だけはどうか――」
「ほう、打ち首にされてもいいか」
「はい」
「さすがは剣信殿の娘。天晴な心掛けです。そこまで言われると拙者としても、どうにかしてあげたくなるのが心情……。悪太郎、お前はどう思う。若君を捕らえたのはお前だ。お前の考えを聞こう」
章介は、意味ありげに悪太郎と目を合わせた。
「お嬢さん、気持ちよかったか」
志乃の後始末を終えた章介が声をかけた。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
茜は答えなかった。目を閉じたまま涙を流している。
「ぐうの音もでないか。ハハハ。まあよい。そのままそこで休んでいろ」
そう言うと、章介は志乃のほうを向いた。
「さて、志乃殿、勝負は拙者の勝ち。約束通り、若君は悪太郎に渡しますぞ」
「待ってください。後生です。私はどうなっても構いません。若君だけはどうかお救いください」
戸板の上に人の字型に縛られたままの態勢で志乃は必死にすがった。
「自分はどうなってもよいと申されるか」
「はい。佐々木殿のお好きなようにしていただいて結構です。打ち首にされても構いません。ですから若君だけはどうか――」
「ほう、打ち首にされてもいいか」
「はい」
「さすがは剣信殿の娘。天晴な心掛けです。そこまで言われると拙者としても、どうにかしてあげたくなるのが心情……。悪太郎、お前はどう思う。若君を捕らえたのはお前だ。お前の考えを聞こう」
章介は、意味ありげに悪太郎と目を合わせた。