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紅い部屋
第15章 11月中旬【打破】
緊張か恥ずかしさからなのか、太腿が小刻みに震えている。
「ホントに卑猥な身体だね。クリトリスも大きく突き出て襞も2枚とも分厚くはみ出して」
上目線で佐和の顔を覗き込む。一瞬目が合うと顔を横に背けてしまった。
洗面台から下ろしてやり、床に落ちている布たちを着るように指図した。
やっと身体が隠れるからか、脱いだときよりかなり動きが早い。
背中に戸惑っている佐和に代わってワンピースのファスナーを上げてホックをかける。
小さな声でお礼が聞こえ、また首元が赤くなった。
再びソファに座り足元近くに呼んだ。佐和は素直に従うと涙目で俺を見上げた。
「さっき…卑猥な身体だって仰いました…それって遊んでるってそう思ってるってことですか」
「いや全く」むしろ逆だと思う。「褒め言葉のつもり」
とたんに佐和の目線がキョロキョロと落ち着かなくなる。
思えば今までもそういう事があった。彼女は本当は男が少し苦手で怖いのだろう。
「グロテスクで汚くないですか?…私、他の女性と違ってたり変じゃないですか…?」
絞り出すような弱々しい声。過去にそう言われたのか。
もしかしたらそいつは、愛撫に反応しない彼女に当て付けで酷い言葉を投げつけたのかもしれない。
「思わないよ」
ペットボトルの残りを飲み干した。佐和はまだ目を合わそうとしない。
「男だって皆形や大きさが違うしどれが正解なんてないじゃない。俺が君を気に入った、が答えじゃ納得しない?」
ハッと驚いた顔。
手を伸ばして柔らかい髪を撫でる。
堰を切ったように、スカートを握りしめた両手の甲にボタボタと涙が落ちた。
「前の男に何を言われたのか知らないけど」涙を拭っている指に、頬に触れる。
「泣いて泣いて、嫌な過去は棄てて忘れてしまいなさい」
啜り泣きが嗚咽に変わり、佐和はしゃっくりをあげながら何度も何度も頷いた。
大丈夫。そんな男との時間を思い出す暇もないほど俺が一緒にいて、与えるから。
トラウマを抱えて苦しかっただろう。辛くて数えきれない程泣いただろう。でもそれも今日で終わる。
佐和、お前がずっと何を欲していたのか。自分が何者なのか。お前自身も気付いていない自分を頭と身体でわからせる。佐和、だから
「俺のモノになりなさい」