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フレンズ
第1章 フレンズ
文香は苦笑し、続けた。

「ねえ紗奈、
富樫君と付き合って?

そうしてくれないと、私、
前に進めない気がするの」


「文香…」


涙があふれてしまう。




…泣きたいのは文香のはずなのに。






「落ち着いたら戻ってきてよね。
これはノートのコピー。
代返できる講義は、してあるから」

文香は言うと席を立った。



部屋を出て、母と何かおしゃべりした後、
家を出て行くのが聞こえた。




母が部屋を覗いてきたので、
私は慌てて涙を拭いた。



「何があっても親友だから、
って伝えてほしい。

文香ちゃん、そう言ってたわよ」


母が言った。




私は泣いた。

情けなくて、恥ずかしくて、
こんな馬鹿な自分が、嫌でたまらない。

自分の体を、
泣き声で引き裂いてしまいたかった。






バラバラに壊したガラスの破片を
握り締めた手から、
血が流れる。

そんな思いで、私はこぶしを握り締めた。


【おわり】
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