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Call Girl
第3章 Call 3
「それは大変なことだよ。婦人科に行った方がいい…」
今まで冗談を言っていた顔ではなく真顔でそう言ってきた。
藤堂は子宮頸がんを疑っていたのだ。
子宮頸がん…。
それは、複数のパートナーとセックスすることでも発症する病だった。
それに、佳穂はピルも飲んでいる。
ピルを長く服用すると子宮頸がんになりやすくなるのだ。
藤堂はその事を知っていた。
多くの女性を使い生業としていたならその病気にも敏感になるのは当たり前だった。
「佳穂ちゃん、直ぐにでも婦人科に行って欲しいんだけど…」
「そんなに危ない病気なの?」
藤堂はハッキリした事はまだ言えないと思っていた。
まだ、自分の憶測に過ぎないからだ。
「いいから、婦人科に行ってくれ…」
「分かったわ、婦人科は余り好きではないけれど行ってみるわ」
佳穂はそう言うとソファーから立ち上がり玄関の方に歩いてゆく。
「じゃ、また来るわ」
そう藤堂に伝えると部屋を出ていった。
マンションを出て道玄坂の通りに出ると大勢の人で道は溢れかえっていた。
そうか、今日は土曜日だったのか。
と、佳穂は思っていた。
その人波を縫って佳穂は渋谷の駅にゆっくりと歩いて行った。