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S-Horror
第3章 未恋
「そんなに引っ張らないでよ…危ないって…」
「だって嬉しいんだもん…ねぇ…早く帰ろ……」
「わかったから…ちゃんと前見て……ぁ……奈央っ……」
躓いた奈央の腕を掴んで歩道に引き戻した。
痛っ…足…挫いた…。
けたたましいブレーキ音…
目の前が眩い光で真っ白になった。
意識が遠退いていく…。
あれ?…なんか騒がしいな…
「…文哉っ…文哉っ…お願いっ…目を開けてっ……」
救急車?
赤色灯が眩しい…ってなんで下?
奈央…誰それ?
でも僕の名前を叫んでる…。
「離れてっ…結城さん、聞こえますか?…意識無し…呼吸レベル……だめだ……心マ開始します……もっと離れて、おいストレッチャーっ……」
「いやぁ…いやぁっ…文哉っ…お願いっ…返事してぇっ……」
「すみませんっ、すみませんっ…だって急に倒れ込んで来るから…避けることもできなくて…」
なんだよ…ここにいるよ…。
あれ?…僕だ…。
違う…だって僕は……待っててすぐに行くから…。
近づけない…奈央に…。
そいつは僕…じゃないよ。
本当の僕はここにいるのに…。
奈央っ…待って、奈央……
こっちを視て…僕に気づいて…。
僕は海に浮いてるみたいだった。
潜りたくて身体を下に向けて、水を掻くように手を動かすのに。
でも奈央に近づけない。
足に浮き袋でもついてるみたいに…
奈央に近づけない。
泣きじゃくる奈央が白い車に乗り込んでいく。
赤色灯を点滅させ、サイレンを鳴らして車が走り去っていく。
僕は茫然と上から見送ることしかできなかった。
人集りも消え静かになった。
最後に謝っていた男はパトカーに乗って連れて行かれた。
どうやら僕は車に跳ねられ死んだらしい。
最悪…プロポーズしたその日が命日って…。
奈央…どうしてる?…あんなに泣いて…もう家に帰ったのかな…。
日が昇ってきた。
眩しさに目が眩むと…僕の意識はまた遠退いていった。
「だって嬉しいんだもん…ねぇ…早く帰ろ……」
「わかったから…ちゃんと前見て……ぁ……奈央っ……」
躓いた奈央の腕を掴んで歩道に引き戻した。
痛っ…足…挫いた…。
けたたましいブレーキ音…
目の前が眩い光で真っ白になった。
意識が遠退いていく…。
あれ?…なんか騒がしいな…
「…文哉っ…文哉っ…お願いっ…目を開けてっ……」
救急車?
赤色灯が眩しい…ってなんで下?
奈央…誰それ?
でも僕の名前を叫んでる…。
「離れてっ…結城さん、聞こえますか?…意識無し…呼吸レベル……だめだ……心マ開始します……もっと離れて、おいストレッチャーっ……」
「いやぁ…いやぁっ…文哉っ…お願いっ…返事してぇっ……」
「すみませんっ、すみませんっ…だって急に倒れ込んで来るから…避けることもできなくて…」
なんだよ…ここにいるよ…。
あれ?…僕だ…。
違う…だって僕は……待っててすぐに行くから…。
近づけない…奈央に…。
そいつは僕…じゃないよ。
本当の僕はここにいるのに…。
奈央っ…待って、奈央……
こっちを視て…僕に気づいて…。
僕は海に浮いてるみたいだった。
潜りたくて身体を下に向けて、水を掻くように手を動かすのに。
でも奈央に近づけない。
足に浮き袋でもついてるみたいに…
奈央に近づけない。
泣きじゃくる奈央が白い車に乗り込んでいく。
赤色灯を点滅させ、サイレンを鳴らして車が走り去っていく。
僕は茫然と上から見送ることしかできなかった。
人集りも消え静かになった。
最後に謝っていた男はパトカーに乗って連れて行かれた。
どうやら僕は車に跳ねられ死んだらしい。
最悪…プロポーズしたその日が命日って…。
奈央…どうしてる?…あんなに泣いて…もう家に帰ったのかな…。
日が昇ってきた。
眩しさに目が眩むと…僕の意識はまた遠退いていった。