この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
S-Horror
第3章 未恋
「そんなに引っ張らないでよ…危ないって…」

「だって嬉しいんだもん…ねぇ…早く帰ろ……」

「わかったから…ちゃんと前見て……ぁ……奈央っ……」

躓いた奈央の腕を掴んで歩道に引き戻した。

痛っ…足…挫いた…。

けたたましいブレーキ音…
目の前が眩い光で真っ白になった。
意識が遠退いていく…。



あれ?…なんか騒がしいな…

「…文哉っ…文哉っ…お願いっ…目を開けてっ……」

救急車?
赤色灯が眩しい…ってなんで下?

奈央…誰それ?
でも僕の名前を叫んでる…。

「離れてっ…結城さん、聞こえますか?…意識無し…呼吸レベル……だめだ……心マ開始します……もっと離れて、おいストレッチャーっ……」

「いやぁ…いやぁっ…文哉っ…お願いっ…返事してぇっ……」

「すみませんっ、すみませんっ…だって急に倒れ込んで来るから…避けることもできなくて…」

なんだよ…ここにいるよ…。

あれ?…僕だ…。

違う…だって僕は……待っててすぐに行くから…。

近づけない…奈央に…。
そいつは僕…じゃないよ。
本当の僕はここにいるのに…。

奈央っ…待って、奈央……

こっちを視て…僕に気づいて…。

僕は海に浮いてるみたいだった。
潜りたくて身体を下に向けて、水を掻くように手を動かすのに。

でも奈央に近づけない。
足に浮き袋でもついてるみたいに…
奈央に近づけない。

泣きじゃくる奈央が白い車に乗り込んでいく。
赤色灯を点滅させ、サイレンを鳴らして車が走り去っていく。
僕は茫然と上から見送ることしかできなかった。

人集りも消え静かになった。
最後に謝っていた男はパトカーに乗って連れて行かれた。

どうやら僕は車に跳ねられ死んだらしい。

最悪…プロポーズしたその日が命日って…。
奈央…どうしてる?…あんなに泣いて…もう家に帰ったのかな…。

日が昇ってきた。
眩しさに目が眩むと…僕の意識はまた遠退いていった。




/20ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ