パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第3章 僕の結婚

それを人伝に聴いた時、
全く信じられなかった。


結婚するなら、僕とだと思い込んでいた。


勿論、そんな話をすることもなかったけど。




大学院を出て、大手銀行に就職して三年目になったトコで、
彼女も大手の建設会社で設計の仕事をしていたから、お互い、忙しくはあった。



僕は慌てて、彼女の家に行った。

よく、迎えに通ったマンションで、
何度もインターホンを鳴らした。

でも、応答はなかった。


泣きそうな気持ちで立ち去ろうとしたら、
不審者を見るような顔で見知らぬオバサンが僕のことを観ていた。



僕は藁にもすがるような気持ちで、
そのオバサンに声を掛けていた。



「あの…。
501号室の佐藤さんってご存知ですか？」



そのオバサンは、フッと表情を和らげて、

「ああ。
佐藤さんは入院されててお留守よ？」


「えっ？
美穂ちゃんが？」と言うと、

「違うわ。
美穂さんじゃなくて、お母様の方よ」と言われてホッとする。


「あの…。
入院先は？」と言うと、

「それは…個人情報だからちょっと…」
と教えて貰えなかった。


「美穂ちゃんに電話したけど、
連絡取れなくて。
あ。
お母様でも美穂ちゃんでも、
もしもお会いすること出来たら、
連絡いただきたいと伝えていただけますか？
同級生なんです」と言って、
名刺を渡してみた。



「あら。
良いとこにお勤めなのね？
来週、お見舞い行くから、
お母様に渡しておくわね」と言って、
自分の名前を教えてくれて、
そのオバサンは建物に入って行った。