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嘘つきは恋の始まり
第3章 つ
「どけよ。お前、冷静じゃないからヒットしないんだよ」

シッシと椅子から俺を立たせてパソコンの前に自分が座って操作を始めた。

「チコが本名じゃないならあだ名だよ。そもそもチコなんて本名いねーよ」
「・・・・・」

「本気だったら本名ぐらい聞いとけ」

聞いたよ・・・・
ガチャガチャと俺に負けない速度でキーボードを操るコイツもすごい。

「チカコ・・・でもない。っと」

ヒットしたチカコさんの写真を見ながらスクロールさせる。

「チヅコ・・・・かな?」

真面目に写っている写真は社員証に貼ってあるのと同じ写真で
スクロールが早くて追いつくのがやっとだ。

チコから考えられる限りの名前を検索したけど
なかなかチコはヒットしなかった。

かれこれ1時間もこんなことをしてる。
「山田。もういいよ。同じ会社ならまたどこかで会えるよ」
「う~ん」
「お互い仕事が溜まってるから。ありがとな」

「ビンゴ!」

得意そうなドヤ顔の向こうに見えたのは
一人の人事経歴書。

谷城知子(タニシロ トモコ)
××××年生
○○年入社
国立R大学卒業
総務部所属


「知子ちゃん・・・・・ね。だから、チコちゃん・・・か」




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