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嘘つきは恋の始まり
第3章 つ
「お前、さっきから何してんの?」

チコちゃんを見失って、しばらく探したけど逃げられた。
同じ会社?それとも来客?
いや。この会社だよな?
この会社の制服を着てた。
逃げたってことは同じ会社だって知ってたのか?
くそ。考えがまとまんねーな。

「人事の社員名簿にアクセスしてんの」
「は?社員名簿なんかアクセスできんの?」
「俺、3ヶ月前に無作為に選んだ社員の勤務調査をする担当だった」
「だね」
「その時、社員名簿のパスを教えてもらった」
「は?そのパス生きてんの?」
「らしい。アクセスできた。会社のセキュリティー見直したほうがいいな」

ガチャガチャとイライラしながらキーボードを打つ手が止まらない。

「で?誰を探してんの?」
「チコちゃん」
「チコちゃん?ってこの前の合コンの?」
「そう。ちいさ~い会社の・・・ね」
「なに?うちの会社だったの?」
「らしい。今エレベーターで会った・・・」

「へ~・・・」
「あんまり驚かないんだな」
「あ~お前がさ?自分の会社の規模を普通。って言ったとき
ちょっとコバカにしたように笑ったんだよね。
だから、俺らの会社のこと知ってんのかな?って」

「おまえ・・・言えよ!俺に!俺がチコちゃん好きになったって知ってんだろ?」
「そこまで好きなの?」
「好きだよ!」

チコチコチコ・・・・・・・・

何千といる社員を性別で女性だけにして
名前をチコで検索するけどいない。

「くそっ。チコじゃヒットしない」
「ゆりちゃんに連絡してみたら?幹事だったろ」
「先手を打たれた。着信拒否されてる」
「徹底してんな」

面白そうに笑うコイツがにくい。

「笑い事じゃねーよ」
「笑い事だよ。こんなおおき~い?会社の経営管理のエース君が?
女に名前嘘つかれて、会社も嘘つかれて?
必死になってるお前、レアじゃん?」




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