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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第9章 3月9日と10日の話
2023年 3月9日
PM 7:20分…
「ねぇねぇ、ののか。
今週末は、泊りで出かけるつもり
なんだけどさ、良いよね?」
そう透真が何の前触れもなく
突然言って来たのが
19日の日の夕食の時の事
「え?今週末…って、11日の事?」
「うん、11日。
もう、予約して置いたから」
「予約?どこを?」
「行けば分かるって、
週末、何かあった?都合悪い?」
「いや、別に…何もないけどさ」
予約する段階で言ってくれたら
こっちも準備とかあるのに
この私の旦那さんはいつも突然だ
木曜日にそんな会話をして
金曜日は一緒に定時に上がれたから
帰りに買い物も済ませようと
住んでいるアパートから近い
行きつけのスーパーに一緒に行った
鮮魚コーナーで魚を見ていると
抱卵してるカレイが売っていたから
煮つけにでもしようかと思案していると
さっきまで隣に居た透真が
知らない内にどこかへふらっと行っていて
また 杏寿郎 カゴに何か
勝手に入れるつもりだなと思って
周囲を見渡すと
どうせ ミスジのローストビーフで
赤ワイン飲みたいとかそんな事だろうと
精肉コーナーの方を見ても
あの目立つ人の姿はなくて
あれ?透真 どこ行ったんだろ?
その辺に居ないから
缶詰のコーナーとかかな?
缶つま買いたいとかそんなのかな?
缶つま買うんだったら家の冷凍庫に
ローソンの生ハムのユッケ風のやつ
あるからウズラの卵だけ買えばいいのに
残ったウズラの卵は茹でて
丁度殻のついたホタテの小さいの
さっきあったから買うし
一緒にアヒージョにしてあげるよって
言いたいんだけど…透真どこかな?
そんな事をののかが考えていたら
透真が丁度こっちに
何かを持って戻って来て
「透真、それ…、何持ってるの?」
「これ?みかんだけど?」
透真が手にして居るのは
みかんだと本人は言ってるが
正確に言うとみかんじゃない
「それ、デコポンでしょ?透真
みかんじゃないじゃん。それ」
「デコポンじゃないって。
不知火って、みかんじゃないの?」
その手にある物には不知火と
書かれたシールが貼ってあるから
これは不知火だと本人は言って来て