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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第9章 3月9日と10日の話
「いや、だから、
それはみかんじゃなくてね?
デコポンって言う、不知火なの。
でも、透真、不知火で良いの?
デコポンの方が良いんじゃない?
不知火より、そっちの方が美味しいよ?」
「デコポンはこれの隣にあったが、
不知火と、デコポンは違うのか?
俺にはみんな、みかんに
見えるんだけど品種が違うの?」
自分の手の中にある不知火を
透真が見つめてののかに尋ねて来る
「ああ、えっと、分かりやすく言うと
不知火とデコポンは同じだよ?
例えるならハマチとブリみたいな感じかな?」
ブリとハマチと聞いて
透真が自分の手の中の不知火を見つめる
「要するにデコポンになれなかったのが、
不知火って言うことなの?ののか」
「そうだよ、だからデコポンの方が
高かったでしょ?あ、甘平売ってるね」
話をしながら 果物コーナーまで
移動するとののかが
色々な種類の柑橘の中から
ある種類のを取り出して
「みんなみかんじゃん」
「えぇ~、全然違うよ。
それに、手で剥けるか剥けないかとか
あるでしょ?色々と。中の袋ごと
食べれるのとか食べられないのとか。
それにデコポンを名乗れるのは熊本県産だよ?
みかんとか柑橘系の生産って、
有名なのって和歌山とか愛媛でしょ?
だから、熊本以外でも生産はされてるんだよ」
「デコポン…好きだったっけ?」
「別に甘夏でも、清美でもはるみでも
食べるけど…、私は
デコポンよりも、八朔がいいかな。
ああ、そうだ、透真。透真が
好きなローソンのユッケあるよ」
「マ?あれ、あるの?」
「うん、あるけど…だから、
ベビーホタテあるから、ウズラの卵
買って帰って、ユッケに乗せるでしょ?
残った奴は茹でて、ベビーホタテと
マッシュルームと、ミニトマトと
アヒージョにしようかって。ああ、それとも
ここで、長いも買って帰る?
短冊に切って、ウズラの卵乗せて
上からめんつゆ掛ける方がいい?」
そう問いかけると
透真がうーんっと声を出しながら
唸り声を上げて居て
「梅干し入りのハイボールでいい?」
ののかが透真にそう尋ねると
一瞬驚いた様な顔を見せるけど
その顔がすぐに笑顔になったから
「どうせ、透真の事だから
何飲むか悩んでたんでしょ?」
「ののかは?何飲むの?」