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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第10章 3月11日の話
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2023年3月11日
透真がスカートじゃなくて
今日はパンツにして欲しいと
普段は何もこっちの服装には
注文をつけたりしない透真なのに
珍しく服装についての注文を付けて来て
それはどうしてなのかなぁっと
思いつつも動きやすい服装と
タオルと言っていたな確か
一体透真は何をするつもりなんだろう?
いちご狩りのハウスの足場が悪いから
スニーカーとかの方がいいのはいいけど
スカートじゃない方がいいって言うのと
タオル用意しとけって言ってたよね?
タオルは確実にいちご狩りとは
無縁だろうしなぁっと
そんな事を考えながら
ののかはIHコンロに向かって居て
中にチーズを入れたオムレツを焼くと
カリカリに焼いたベーコンの上に乗せた
バゲットも焼いて置いて
残り物の野菜のコンソメスープと
ちぎったレタスの上にミニトマトを乗せて
冷凍のブロッコリーとアスパラガスを
サラダボールに入れた
アンチョビにアボカドを混ぜて
ディップソースを作る
透真はと言うと
リビングのソファで
コーヒーを片手に
新聞に目を通していて
朝から優雅な時間を楽しんでいる様だ
「もう、透真?
座ってコーヒー飲んでるんだったら、
出来るの、そっちに運んで並べてくれると
非常に私も助かるし、嬉しいんだけど?」
「ん?ああ、ごめんごめん」
そう言って読んでいた
新聞を透真が畳むと
テーブルの端に置いて立ち上がる
クリームチーズのスプレットと
蜂蜜を取り出して
小さなガラスのサラダボールに
それを入れて練ると
果肉だけにして崩した
八朔を加えてざっくりと合わせた
余った八朔は生ハムと一緒に
サラダボールの中の野菜の上に
散らす様にして乗せた
冷蔵庫からドレッシングを
選んで3本キッチンの
カウンターにののかが並べると
テーブルの上を
アルコールのウエットティッシュで
拭いていた杏寿郎に声を掛けた
「朝ご飯、出来たよ。透真。
これ、全部そっちのテーブルに
運んでセットして置いてくれる?」
「OK。丁度、テーブルも拭けた所」
「じゃあ、運んで並べてくれる?
私は、食べる前に、ちょっと
お手洗い、行って来るから」