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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第10章 3月11日の話
「こういう事だけど?ののか」
お互いの顔が近いし
数センチしかない距離で
何故か声を潜めて囁き合うと
「いちごのひとつでもさ、
分かち合えるって言うのは…さ。
夫婦って、素晴らしいって思わない?」
「って、透真がさ、単に
キス…したいだけなんじゃっ」
「好きに言えばいい…けどさ、
いいじゃん、キスぐらいさぁ。
別に、時間もたっぷり、あるんだし。
それに、俺とののかしか居ないんだよ?」
そう 言われてしまったら
その キスを断る理由が
無くなってしまうから
こういう時の透真は 本当に
ズルいなぁ…って
そう ののかは思ってしまって
そのまま 瞼を閉じて
透真からのキスを受け入れる
鼻先を掠める いちごの香りと
唇を割って入って来る舌に
自分の舌を絡め取られてしまって
「…んっ、…ふ…ッ」
舌先から 感じるいちごの甘さ
そう言えば 舌の先の部分に
甘いって味を感じる部分があるんだっけ?
透真の舌… いちごの味がする…
スッと唇を離されて
すぐ目の前に透真の笑顔があって
こんな ハウスの中でいちご狩りしながら
キスしてるカップルって居るのかなと
そう思わずには居られないが
「折角だからさ、キスの味変する?」
そう言いながら手を透真が
ののかの身体の向こうに伸ばして
プチっと 赤く熟れたいちごを摘む
自分のトレーの上に出していた
練乳をいちごに絡ませてつけると
それをののかの方にに向けて来て
恐る恐る ののかが口を開くと
練乳の付いたいちごを口の中に
透真がぐいっと押し込んで来る
そのまま指先が名残を惜しんで
ののかの下唇をなぞって行く
「練乳…付け過ぎだったみたい。
ののかの、ここ…、練乳付いてる」
そんなの わざとたっぷりと
練乳をいちごに付けたのは
間違いなく 透真だし
多すぎた練乳を 唇に塗り広げたのも
間違いなく 透真で
ペロッと舌を下唇に這わせて来て
塗り広げられた練乳を舐め取ると
「甘いな…、ののかの唇は」
「透真のばかぁ~ッ。
甘いのはっ、私じゃない…し?
練乳が、甘いだけ…だよ?」