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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第7章 2月14日の話

「ののかも…こっちで寝ようよ~」

おいでおいでと
ベッドの寝具の間から
透真の手がにゅっと出て来て
こっちに手招きをして来る

その後もう一寝入りして
起きたら朝の8時前だった

モーニングのセットにフレンチトーストがあって

それから 忘れない内に
宿泊者特典のハニートーストも
モーニングと一緒に注文しておいた

結局 チョコバナナの
ハニートーストにして

朝からパンばっかり食べ過ぎてしまったけど

透真はサウナに
また入りたいって言って

私がシャワーをして支度を整えてる間
部屋に備え付けられているサウナを楽しんでた

「で、どうするの?部屋変える?」

「流石にそれはいいよ、
さっき言いかけてた事なんだけどね。
ほら、今日は、バレンタインだしさ。
私が透真に色々と
サービスする日でしょ?だから」

ののかが透真に手を出して来て

「ん?何?この手は、何が欲しいの?」

「車のキー貸して、私が運転するから」

「運転?ののかが?」

「透真が、私の運転する車に
乗りたがらないだけでさ
免許ゴールドだし、車には乗ってるもん」

「あっ、そっか、忘れてたけど。
ののかが居る部署は、
ちょっとだけ、営業回りがあったっけ」

「そう言う事。今は兵庫県の
南側に居るけど、今日の…目的地は
北になるからね?移動長いけど
辛抱してね?透真」

兵庫県は南は瀬戸内海
北は日本海に面していて
広いイメージはあまりないが
関西の県では最大の面積がある

今日は…北に行くと
ののかが言っているので…

ここから…北を目指せば…
移動は…3時間ぐらい…掛かりそうだ

一抹の不安を抱えながら
運転席に座るののかを
不安そうな面持ちで見ていると

「そんなに、私の運転は不安?」

「不安にもなるって…、
俺…ののかの運転する車乗った事無いし」

私がするよって言っても
させてくれない人が何を言うのかと
ののかは内心思いもしたのだけど
敢えてそれは言わない…

バレンタインのホテル代を
払うと言ったのを断られたので
折半で折衷案にしたつもりだろけど

私は…バレンタインデーなのだから
こっちから何かをしないと
納得できないしね…こっちとしても

だから… ある物を
透真にプレゼントとして用意している

そのある物の為にも…

私は車で兵庫県を縦断して
日本海側を目指すしかないのだ

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