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バガテル第25番イ短調 (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
151
「ねぇ駿くん、一緒に帰ろうよ」
「えっ」
「実は帰る方向一緒なんだ」
「あ、そうなんだ、でも部活は?」
「ええ、何言ってるのよぉ、もおヤダなぁ…
もう三年生は部活動引退してるんですけどぉ」
「あ、そうだった…」
そう、三年生は受験があるから部活動は引退なんだっけ…
「だからぁ途中まで一緒に帰ろうよぉ」
断る理由は無く、いや、断われずに一緒に帰る事になった…
そして少しだけ心がワクワクしつつあったんだ。
「帰る方向が一緒だなんて全然知らなかった」
そう、それまで本当に舞香ちゃんのことなんて興味が無かったから、いや、葵さんしか興味が無かったから…
いいや違う、葵さんとあんな関係になるまでは本当に子供で、普通の、男女関係なんて想いも及ばない男の子であったんだ。
「そうよね駿くんは部活動もしてなかったし、小学校も違うしね…
わたしね、中二の秋に駿くん家の近くに引っ越ししてきたの」
「そ、そうなんだ」
「うん、だから知らないのは当然よ」
舞香ちゃんはボーイッシュな笑顔で話してきた。
「それよりさぁ駿くん突然成績上がったでしょう…
塾か何か変えたの?」
そう僕は天才葵さんの『飴とムチ』作戦の家庭教師のおかげで成績が爆上がりしたのであった。
「え、あ、いや…」
「だって凄い急上昇じゃない」
確かに急上昇した…
学年順位が200人中80番位からいきなり10番台に、そして夏休み前のテストでは8番になったんだ。
だが、それは全て葵さんのおかげであり、夏休みの軽井沢でもしっかり勉強はしたから、夏休み中の学年模試でも8番をキープしていたのだが…
ちなみに舞香ちゃんは、いつも5番以内の好成績を守っている才女でもあった。
「え、あ、うん、秘密の家庭教師がいたんだ」
葵さんの事であるが…
「ふーん、その家庭教師さんすごいんだねぇ」
「あ、うん、でも、もう居ないけど…」
「え、あ、そうなんだ」
舞香ちゃんは、僕のその言い方に何かを感じたみたいだったけれど、それ以上は訊いてはこなかった。
そのさり気ない気遣いがなんとなく嬉しい…
そして二人で歩きながら葵さんの元お屋敷の坂に差し掛かった時であった…
「最近はピアノの調べが全然聞こえないのよねぇ」
と、お屋敷を見上げながらそう言ってきたのである。
「ねぇ駿くん、一緒に帰ろうよ」
「えっ」
「実は帰る方向一緒なんだ」
「あ、そうなんだ、でも部活は?」
「ええ、何言ってるのよぉ、もおヤダなぁ…
もう三年生は部活動引退してるんですけどぉ」
「あ、そうだった…」
そう、三年生は受験があるから部活動は引退なんだっけ…
「だからぁ途中まで一緒に帰ろうよぉ」
断る理由は無く、いや、断われずに一緒に帰る事になった…
そして少しだけ心がワクワクしつつあったんだ。
「帰る方向が一緒だなんて全然知らなかった」
そう、それまで本当に舞香ちゃんのことなんて興味が無かったから、いや、葵さんしか興味が無かったから…
いいや違う、葵さんとあんな関係になるまでは本当に子供で、普通の、男女関係なんて想いも及ばない男の子であったんだ。
「そうよね駿くんは部活動もしてなかったし、小学校も違うしね…
わたしね、中二の秋に駿くん家の近くに引っ越ししてきたの」
「そ、そうなんだ」
「うん、だから知らないのは当然よ」
舞香ちゃんはボーイッシュな笑顔で話してきた。
「それよりさぁ駿くん突然成績上がったでしょう…
塾か何か変えたの?」
そう僕は天才葵さんの『飴とムチ』作戦の家庭教師のおかげで成績が爆上がりしたのであった。
「え、あ、いや…」
「だって凄い急上昇じゃない」
確かに急上昇した…
学年順位が200人中80番位からいきなり10番台に、そして夏休み前のテストでは8番になったんだ。
だが、それは全て葵さんのおかげであり、夏休みの軽井沢でもしっかり勉強はしたから、夏休み中の学年模試でも8番をキープしていたのだが…
ちなみに舞香ちゃんは、いつも5番以内の好成績を守っている才女でもあった。
「え、あ、うん、秘密の家庭教師がいたんだ」
葵さんの事であるが…
「ふーん、その家庭教師さんすごいんだねぇ」
「あ、うん、でも、もう居ないけど…」
「え、あ、そうなんだ」
舞香ちゃんは、僕のその言い方に何かを感じたみたいだったけれど、それ以上は訊いてはこなかった。
そのさり気ない気遣いがなんとなく嬉しい…
そして二人で歩きながら葵さんの元お屋敷の坂に差し掛かった時であった…
「最近はピアノの調べが全然聞こえないのよねぇ」
と、お屋敷を見上げながらそう言ってきたのである。