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担当とハプバーで
第8章 最後の約束
帰宅してシャワーに直行した祥里を横目に部屋着に着替えると、急いでベッドに飛び乗った。
胡座をかいて、髪をぐっと耳にかける。
イヤホンをつけて唇を舐める。
それから大きく深呼吸をして、動画リンクを開いた。
パッと映ったイントロは、今まで見たことない夜明けのジャックのプロモーションアイキャッチ。
店の入り口でモードな雰囲気のカメラワークでホストたちがパンアップされる。
真ん中の三人にしかピントが合わない。
真ん中の右。
オールバックの長身。
ああ、やはりずば抜けてる。
ゴージャスなエフェクトとともにネオン文字で店名が画面を埋め尽くす。
それがフェードアウトすると、ポポンっと気が抜ける音とともに企画タイトルが黒背景に浮かんだ。
「トップメンバーに……恋愛の失敗聞いてみた」
つい唇が動いて読み上げてしまう。
だって、それはあまりに聞き覚えのある企画。
ハヤテに自分がリクエストした企画。
切り替わった店内の映像に赤ら顔のナオキ、飄々としたタツ、いつものサングラスに指をかけたハヤテが映される。
「久しぶりの投稿だあ!」
ナオキが無邪気に万歳すると、二人が気だるく拍手する。
「盛り上がれよっ! お前持ち込みだろ」
バシンと肩を叩かれたハヤテが、げんなりと首を振って座り直した。
「はい、見かけ反社の持ち込み企画です」
「意外と気にしてるから根も葉もないコメントやめようね」
「オレのことも量産系とか懐古厨とか言わんでね」
瞬きを忘れた両目の奥がぐっと熱くなる。
力を入れてないと涙がこぼれてしまうと思った矢先、頬につうっと伝った。
ああ、もう。
袖でぐしぐしと拭う。
最後に会った時と何一つ変わらない姿に、体が勝手に反応してしまっている。
「じゃなくて。オープニング変わったのから説明しないと」
タツが思い出したように言うと、ナオキが仕切り直しのために二拍手して一礼した。
「改めまして、ナンバーワンのナオキです。日頃ジャックを応援してくれる姫たち、いつもありがとうございます。えっと、このチャンネルもありがたいことに百万人突破しました。で、ブランディングとか新スタートって意味でオープニング作りました。格好良かったっしょ」
「クソ残業撮影でしたね」
「裏事情言うなよ、ハヤテ」
「新スタートの第一弾が姫リクエスト企画になります」
心臓が煩い。