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担当とハプバーで
第6章 墓まで連れ添う秘密たち

 凛音が理想としていたハヤテの像にリンクできていたのかって。
 あの日も喫煙ルームで同じことを考えていた。
 先に姉妹で時間と精力使ったせいか。
 いや、意識しすぎたせいか。
 異様な興奮に飲まれていた。
 あんだけ騎乗位下手くそなのに、あのフェラは反則だって。
 終電に間に合わせようなんて邪念もあった。
 フィルターを噛んでしまって、舌打ちしながら灰皿に押しつぶした。
 早く戻って出迎えの準備しないと。
 扉を開けると目の前にマサヤが立っていた。
 腕時計をこちらに掲げて。
「タバコ休憩、二分オーバー」
「厳しすぎるって」
「タツから聞いたけど、色恋溺れんなよ」
「じゃあ、もうナオキさんにもバレてますね」
「明日で持ち直してこい。せっかく売り上げ順調なんだから、ペース保てよ」
「……わかってますよ」
 きらびやかな店内に戻り、廊下の鏡で表情を整える。
 ハヤテ。
 情けないエイイチは出てくんな。
 ナンバースリーのハヤテ。
 そう、その顔。
 半年前から毎週来ている姫に笑いかける。
「月曜日のお姫様、今日はいいことあった顔してんな」
 退勤後までに、か。
 姫と恋愛はご法度。
 色恋管理はグレーゾーン。
 同業界もタブー。
 あの口の軽さならマサヤに元姫ってバレてる。
 問題を起こして飛んだ奴を除けば、選択肢は段々と絞られてしまう。
 新規動画ファンにポジティブな感情がないのも、熟知されている。
 暗にタツからの警告だろう。
 ライバルに弱み話してないで、集中しろって。
 なら、解決策は一つ。
 連絡先を消すだけ。
 返事もなければ、きっと向こうから連絡が来ることはこの先もない。
 チャンネルが大きくなれば、凛音と大差ないコアなファンが増えていく。
 その中で満足を覚えればいいだけの話。
 過去の話をするのが面倒な性格のせいで、楽な会話ができる凛音に居心地良くなっていただけ。
 会話をするうちにどんどん余韻が消えていく。
 テキーラーショットが進み、頭もクリアになる。
 ここはホストクラブで、自分はトップスリー。
 明日は新しいシャツでも見に横浜に行って、終わりにすればいい。
 最後のピースまでハマりかけていたパズルが、退勤後の携帯画面の通知でバラバラに散る。
 凛音からのメッセージ。
ー十九時には着きますー
 ぺこりとお辞儀のスタンプ。
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