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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第8章 女久美 54歳

「あなた、名前は何というの?」

「智(さとし)です」

「そう、智…今日一日だけ、私はあなたの彼女よ」

そのように宣言して私は彼に覆い被さりキスをしてあげた。
女に慣れていないのか
すぐさま唇を割り開いて舌を侵入させようともしない。
文字通り、唇と唇を重ねるキスで時間が過ぎてゆく。

我慢できなくて、私の方からチロッと舌を出して
智の唇を舐めてあげる。

たちまち「ムフー」っと鼻息が荒くなり
モゾモゾと私の背中に腕を回してくる。

『可愛い…なんて可愛い子なんでしょ』

私はソッと唇を離すと
唇が触れるかどうかの至近距離で
「いいのよ…自由にしても…」
そう囁いてあげると今度は智から唇を重ねてきました。

先ほどとは逆に智からチロッと舌を出して
私の唇を舐めてきた。
『そうよ…上手よ…』
なんだか童貞の男の子をいただく気分にさせられる。
そのように思ったのは、ほんのつかの間で
私が舌を差し出して迎え入れると
獣になったかのように舌をグニュグニュと私の口の中に射し込んできました。

『あああん、そうよ、それでこそ男だわ』

私の口の中で互いの舌がダンスを始めた。

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