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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第15章 朝子 50歳
二人でお茶を飲みながら
安奈さんはテーブルの片隅のブローチに目を留めました。
「わぁ~!可愛いブローチだわ!」
「良ければ差し上げるわ」
「え…でも…」
「それね、私の手作りなの」
そんな会話から、私の趣味がブローチ作りで
ある程度まとまった数が出来ればフリーマーケットに出品して売るんだと告げた。
「まあ!フリーマーケットって、私、興味があるわ」
「今度の日曜日に出店するのよ
良かったら遊びにいらっしゃいな」
「遊びにいくというよりは…
お邪魔でなければお手伝いさせてくれませんか?」
安奈さんはフリーマーケットというものを体験したいと言い出した。
それは、私にとっても渡りに船でした。
なにせ、一人だと荷物の運搬も大変で
店番も一人だけだとトイレもままならない状態でしたから。
日曜日…
フリーマーケットでは今までで最高の売り上げでした。
看板娘というのでしょうか、
こんなおばさん一人ではブースを覗いてくれる人も少なかったのに、若い女性が一人いるだけで
ブローチは飛ぶように売れた。
「お疲れさまでした」
大盛況を祝して私たちは近くの喫茶店でお茶をしました。
「こんなにも売れるものなんですね」
「ううん、今日は特別よ
あなたが居てくれたお陰で花があったもの」
でも、忙しすぎて、二人とも汗だくでした。